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今日の1冊 絵本『パパ、お月さまとって!』

今日の1冊 絵本『パパ、お月さまとって!』

偕成社
エリック=カール さく
もりひさし やく

娘を喜ばせたいというパパの一生懸命さ

自分の子どもが喜んでくれたら嬉しいなぁというのは親の真心で、その表現の形は人によって様々だと思います。欲しがっていたおもちゃをプレゼントしたり、食べたがっていたハンバーグを作ったり。

子どもは当然プレゼントやハンバーグそのものも嬉しいと感じるのですが、実はもっと嬉しいのは、「パパやママ、慕っている人が自分のために一生懸命行動してくれたこと」だったりするんですよね。

自分の子供の頃を思い返すと、おもちゃやお菓子をねだったときというのは、それらが本当に欲しかったというより「自分のために大切なお金をはたいて買ってくれた」その行為が嬉しかったんだと今になって思うのです。

でも子どもからあんまりしつこい要求がくると、「今日は買わないの!」「見るだけって言ったでしょ!」なんてついつい怒ってしまいがち。

『パパ、お月さまとって!』は、子どもが何かモノを欲しがったとき、背景にある本当の気持ちを思い出させてくれる絵本だなぁと感じます。

月をさわりたいとか、雲に乗ってみたいとか

作者のエリック=カール氏は、いまや世界中で愛されている『はらぺこあおむし』を創った方です。

絵本の中表紙には、家族に宛てたメッセージが書かれているのが印象的ですが、『パパ、お月さまとって!』も娘のモニカさんを想って描いたそう。

月をさわってみたい・月と遊びたいという少女らしい夢を決して否定せず、なんとか叶えてあげられる方法はないかと一生懸命模索し、ご自身の得意分野で表現したのがこの絵本でした。

子どもの夢は月をさわってみたい・雲に乗ってみたい・空を飛んでみたい・・・など、自由な発想に富んでいます。

それを、物理的に無理だと説明するのは難しいことではありません。でも、ちょっと思考を転換して、別の方法で叶えてあげるのも素敵なことではないでしょうか。

貼り絵というアートの世界

エリック=カール氏の独特なイラストの世界は、一度見たら誰しも忘れられないインパクトがあります。

力強くて、鮮やかで、ダイナミックで、それでいて優しさを感じる、他の絵本にはないオリジナルの魅力を感じます。

夜空にきらめくお星さまも、どれ一つとして同じものがなく味わいを感じるのは、エリック=カール氏ならではの貼り絵のセンスによるものです。

表・裏ともに表紙をめくった部分には1つ1つが個性を強く持った無数の星がちりばめられています。この絵本を読んだ子どもたちが、星のように1人1人輝いてほしい、夢も個性も大切に・・・そんな思いも込められているのかもしれないと想像せずにはいられません。

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